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  1．認知症の方とのコミュニケーションの基本

  施設に入院・入所した直後は特に、認知症の方はなかなか自分が置かれた状況が認識できず、「知らない場所」で「知らない人たち」が周りに多くいる環境に大きな不安を抱えていることが多いです。突然話しかけられたり、身体に触れられたりすると、余計に不安や恐怖が高まってしまい、BPSDの悪化にもつながります。
  認知症の方と接するときは、視線を合わせてゆっくりと話すなど、安心してもらえるようなかかわりが大切です。コミュニケーションのポイントを見てみましょう。

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  2．帰宅願望行動への対応

  帰宅願望行動は、認知症の方にみられる行動の一種です。入院などで急な環境の変化が生じた直後は特に、ご自身の状況が把握できず、帰宅願望行動につながりやすいです。
  患者さんが家に帰ろうとしていたら、お声がけして簡単な作業を一緒に行ったり、お茶を飲みながら会話を楽しんだりすることで、「帰りたい」気持ちとは別のことに意識が向くように働きかけるとよいでしょう。大切なのは、「家に帰りたい」という訴えを否定しないことです。居心地が悪かったり、家に心配事があったりといった理由があるのかもしれません。まずは気持ちを受け止め、しっかりと患者さんの話を聴く姿勢をもちましょう。この場所が安心して落ち着けるところだと思ってもらえれば、帰宅願望行動も落ち着いてくることが期待できます。

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  3．見当識障害への対応例：張り紙によるサポート

  入院などで急な環境の変化が生じた直後は特に、見当識障害の症状が出やすくなります。ご自身の状況が把握できず、一人で立ち歩いてしまうことで、転倒や衝突、他の患者さんの部屋に入ってしまうなどのトラブルが生じることもあります。これらを未然に防ぐための具体例のひとつとして、張り紙を活用する方法をご紹介します。

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  4．見当識障害への対応例：自立排泄のサポート

  トイレで一人で排泄できる状態を維持することは、患者さんやご家族のQOL維持のためにもとても大切です。トイレに行くのに迷ってしまったり、間に合わずに失敗してしまうと、患者さんのショックは大きいです。ADLがある程度自立した方であれば、一人でも安全にトイレでの排泄ができるようなサポートを検討します。
  今回ご紹介する例では、張り紙と床へのテープで、患者さんの病室からトイレまでの道筋を示しました。声かけのポイントと合わせて、参考にしてください。

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  5．安全な食事を促す口腔ケアとベッドサイドでできる手軽な訓練

  入院・入所中の一番の楽しみは「食事」という声をよく聞きます。加齢とともに摂食嚥下機能はどうしても落ちてきてしまいますが、頻回な誤嚥などによって誤嚥性肺炎を発症したり、口から食べられなくなってしまうと、とたんに気力や体力が衰え、認知機能の悪化にもつながります。患者さんが安全に口から食事を摂り続けられるようなサポートは、大切な高齢者ケアの一つです。
  ここでは、認知症の方に限らず幅広く取り入れたい、口から安全に食事を摂るために大切な口腔ケアや摂食嚥下リハビリテーションの具体例を紹介します。

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  6．認知症の方への食事介助のポイント

  認知症のある方が食事を食べてくれない、という経験は多いのではないでしょうか。一言で「食べない」といっても、その原因はさまざまです。
  消化器症状や精神症状が原因の場合、環境要因が原因の場合、薬物の影響がある場合、認知機能に問題がある場合など、原因によって必要な対処は異なります。対応例をいくつかご紹介します。

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  7．点滴が気になってしまう方への対応

  認知症の方に点滴を行っている際、治療のために点滴をしていることを説明しても忘れてしまったり、邪魔な物だと感じていじってしまい、自己（事故）抜去等につながることがあります。身体抑制を行わず、自己抜去のリスクも軽減させるためには、点滴が気にならないような対応が有効です。
  ルートのつなぎ方を変更してできるだけ視界に入らないようにしたり、他のことに意識をそらすことで、自己抜去のリスクが軽減できます。具体例をご紹介いたします。

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  8．経管栄養チューブが気になってしまう方への対応

  口から十分に栄養が摂取できない方に、経鼻チューブや胃瘻を介して栄養療法を行うことがあります。認知症の方は、このようなチューブの必要性を説明しても忘れてしまったり、邪魔な物だと感じていじってしまい、自己（事故）抜去等につながることがあります。身体抑制を行わず、自己抜去のリスクも軽減させるためには、これらのチューブ類が気にならないような対応が有効です。具体例をご紹介いたします。

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  9．おむつが気になってしまう方への対応

  おむつを着用していても頻回にトイレへの訴えがある場合、おむつをしていることを理解できていなかったり、おむつの蒸れなどで不快感があるなど、何か理由があるかもしれません。大切なのは、なぜそのような訴えにつながっているのかをアセスメントし、原因に応じた対処を行うことです。患者さんの訴えを否定せず、共感的に接するようにしましょう。排尿日誌や残尿測定を行い、排泄パターンを把握することも有用です。

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  10．膀胱留置カテーテルが気になってしまう方への対応

  排尿障害がある場合、一時的に膀胱留置カテーテルが必要になる場合もあるでしょう。患者さんによっては、カテーテルが入っていることへの不快感などから、チューブや採尿バッグをいじってしまうことが見受けられます。治療における必要性を説明するとともに、カテーテルサイズの見直しやチューブ・バッグの固定法の工夫などによって、気にならなくなるように対応しましょう。