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口から食事が摂れなくなった方にとって、胃瘻は大切な栄養補給経路の1つです。これまでさまざまな栄養剤が開発され、また投与法についても、患者さん・介助者双方に負担が少なく継続しやすいやり方が登場してきました。患者さんの状態や状況に合わせて選択肢が広がる一方、どのやり方・どの栄養剤が適しているのか、迷うこともあると思います。
本コンテンツの前半では、胃瘻からの栄養剤投与について、ポイントを絞って紹介します。胃瘻から栄養剤を投与する方法は、2つの方法に大別されます。1つはポンプや器具、あるいは用手的に加圧して投与する方法、もう1つは重力を使って自然に落下させる方法（自然落下法）です。前者はさらに3つに分かれ、「従来法」「デバイス加圧法」「イージークイック法」となります。これらの投与法に加え、新しい経腸栄養セットを用いた投与方法について、コツやおさえておきたいポイントを、それぞれ動画で解説しています。栄養剤の粘度や性状はどのようなものが適しているのか、どのような状態の患者さんに適しているのかなど、投与方法による違いについてもあわせてご紹介します。
また、栄養剤投与に用いる器具の小口コネクタが2019年から新規格に移行することに伴い、完全に切り替わる2022年11月までの間は、既存コネクタと新規格コネクタが現場で混在して、形状の違いにとまどうこともあると思います。そこで本コンテンツの後半では、新規格コネクタにおける注意点や使用時のポイントを、投与前のプライミングと、投与後の洗浄の2本の動画でまとめました。
胃瘻からの栄養剤投与は看護師が主体となる食支援であり、患者さんに合わせて適切に安全に、日々の看護業務のなかで実践していく必要があります。本動画をご参考にしていただき、ぜひ日々の食支援にご活用いただければ幸いです。
シミュレータ協力：株式会社京都科学
機材・器材協力（50音順）：株式会社クリニコ、株式会社ジェイ・エム・エス、テルモ株式会社、ニュートリー株式会社、ネスレ日本株式会社
【関連リンク】
ディアケア：ナースの“食支援”はトータルケアにつながる
水野 英彰
2021年11月現在
ここでは、胃瘻からの栄養剤投与方法として以前から広く用いられている「従来法」について、投与時のコツやおさえておきたいポイントを解説します。従来法では液体や粘度可変型の流動食を用い、経腸栄養用輸液ポンプや栄養セットを使用して、投与速度を滴下によって調節します。投与速度を200mL/時までで調節するのが、消化器系のトラブル（嘔吐・下痢など）を防ぐためのポイントです。
ここでは、器具を用いた人為的加圧によって栄養剤を投与する「デバイス加圧法」について、投与時のコツやおさえておきたいポイントを解説します。デバイス加圧法は、加圧バッグや絞り器具を使用して栄養剤バッグに人為的に圧をかけて投与する方法で、半固形状流動食のなかでも粘度の高いものを用いる場合に選択します。人為的に圧をかけるため、加圧のしすぎによる器具の破損や投与速度に注意することが必要です。介助者の手にも負担がかかるため、患者さんの状態に応じて投与法を選択しましょう。
ここでは、栄養剤バッグを手で押して投与する「イージークイック注入法」について、投与時のコツやおさえておきたいポイントを解説します。イージークイック注入法は、低容量・低粘度の半固形状流動食を、器具などを用いずに介助者の手の力で圧をかけて投与する方法です。手の力で押し込む際、一気に押し込まないように注意が必要です。介助者の手に負担がかかるため、患者さんの状態に応じて投与法を選択しましょう。
自然落下法は、流動食と胃内の落差を利用して重力によって投与する方法です。低粘度から中粘度の半固形状流動食が適しています。輸液ポンプやクレンメ操作で滴下速度を調節する従来法とは異なり、栄養剤バッグの高さを変えることで投与速度を調節します。従来法と同程度のカロリーを投与しても、投与時間は比較的短く済むため、患者さんの負担軽減、介護者の業務時間の短縮につながります。
2020年に新しく登場した投与法として、紙製の栄養剤ボトルの口に直接接続できるコネクタを備えた経腸栄養セットを用いる方法があります。栄養剤ボトルは専用のホルダーに取り付けてそのまま点滴台に吊るすことができ、従来法と同様に目視で滴下速度を調節します。栄養剤ボトルからの経口摂取も可能で、胃瘻からの投与操作も簡便な点からも注目されています。投与の流れを紹介します。
経腸栄養投与に用いる器具は、2019年11月から、接続コネクタが新規格のものへの切り替えが進んでいます。コネクタのオスメスがこれまでの規格と逆になり、カテーテル側がオス型、シリンジや注入セットといった注入側がメス型となりました。
看護・介護の現場では、コネクタの形状がこれまでと変わることに伴い、接続部への栄養剤残留への対応、栄養剤の吸い上げ時の対応、経過措置期間の新旧規格製品の混在への対応など、いくつかの懸念が挙げられています。ここでは、投与時にコネクタ部分をきれいに保つためのポイントや便利な器具を紹介します。
2019年11月から採用されている経腸栄養投与用の新規格コネクタは、カテーテル側のコネクタの溝などに栄養剤が付着しやすく、残留した栄養剤が汚染の原因となるリスクがあります。栄養剤投与が終わった後は、洗浄して栄養剤をきれいに落とし、水気を完全に取るようにします。特に粘度の高い栄養剤は落ちにくいため、ブラシなどを用いてきちんと落とすことが大切です。洗浄のポイントをご紹介します。
2022年05月公開
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