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高齢者の低栄養は、社会的要因、身体的要因、心理・精神的要因など、さまざまな要因が関係します。そのため、高齢者の栄養状態を評価する際は、栄養摂取状況だけでなく、ご本人を取り巻く環境や身体機能、精神状態などを包括的に把握する必要があります。
また、低栄養状態に陥ると、褥瘡の発生や創傷治癒の遅延、感染症など、深刻な健康障害を引き起こす恐れがあります。高齢者の低栄養を防ぎ、効果的な栄養療法（図1）を実施するためにも、まずは栄養状態を適切に評価することが求められます。
このコンテンツでは、栄養状態を評価するツールとして、わが国で広く活用されているMNA®-SF、MUST、SGA、ODAを取り上げます。各ツールの特徴を解説するとともに、問診の進め方や評価方法などを具体的にご紹介します。ぜひ臨床での栄養アセスメントにお役立てください。
図1 栄養療法流れ
まず、栄養アセスメントで栄養不良やリスクの有無を判定し、次に栄養スクリーニングでより詳細な評価を行う。そして、栄養アセスメントと栄養スクリーニングで得られた評価に基づき、栄養療法を計画し実施する。実施後は、モニタリングと治療効果の判定を行い、栄養状態が改善されれば治療終了となる。思わしくない結果の場合は、計画を見直し、実施、モニタリグを繰り返す。
宮澤 靖
2022年5月現在
簡易栄養状態評価表、MNA®（Mini Nutritional Assessment）は、65歳以上の高齢者の栄養状態を確認するためのツールです。評価項目は全部で18個あり、6個のスクリーニング項目と12個のアセスメント項目から構成されています。
この動画では、より簡便に評価できるMNA®-SF（Mini Nutritional Assessment-Short Form）（図1）を取り上げます。MNA®-SFは、体重と身長の測定、および過去3か月間における食事摂取量の減少や体重の減少などの質問から構成されています。該当する項目のポイントを合計し、7点未満であれば「低栄養」、8～11点は「低栄養のおそれあり」、12～14点は「栄養状態良好」と判定します。
動画1では、まずは各評価項目について解説します。
この動画では、MNA®-SFを用いた問診の様子をご覧いただきます。そして、患者さんから伺った内容をもとに行う評価の実際についても解説します。皆さまも動画を見ながら、患者さんの回答をもとにスコア化してみてください。
動画ではBMIの計算方法と、BMIが測定できない場合の対応についても解説していますのでご覧ください。
この動画では、栄養評価法のCONUTとMUSTについて解説します。
【CONUT】（Controlling Nutritional Status）は、2003年に欧州静脈経腸栄養学会（ESPEN：European Society of Clinical Nutrition and Metabolism、現「ヨーロッパ臨床栄養代謝学会」）で発表された栄養評価法です。採血検査において一般的な3つの項目、血清アルブミン値（Alb）・末梢血総リンパ球数（TLC）・総コレステロール値（T-cho）をスコア化し、さらに3つのスコアを積算して求めたCONUT値を栄養評価の指標とします。栄養レベルは正常、軽度異常、中等度異常、高度異常の4段階で評価します。
【MUST】（Malnutrition Universal Screening Tool）は、英国静脈経腸栄養学会（BAPEN：British Association for Parenteral and Enteral Nutrition）で発表された栄養評価法です。在宅向けに開発されましたが、急性期病院においても予後予測の有用性が報告＊されています。BMI、体重減少、急性疾患かつ栄養摂取不良の3項目の合計スコアをもとに栄養障害の危険度を低リスク、中リスク、高リスクの3段階で判定を行います。
この動画では、栄養状態を主観的に評価する方法と客観的に評価する方法をご紹介します。動画の最後では、それぞれの手法のメリットとデメリットもまとめていますので、ご参照ください。
【SGA】（Subjective Global Assessment）（図1）は、主観的指標を用いた栄養評価法で、栄養療法の“ゴールデンスタンダード”として最も多く使われています。体重変化、食事摂取量の変化、消化器症状・機能制限・栄養要求量を変化させる疾患の有無、身体所見をもとに栄養状態を良好、中等度低栄養、重度低栄養の3段階で評価します。
この動画では、SGAを用いた問診の様子をご覧いただきます。SGAの問診では、A項目の病歴と栄養歴について、体重変化、食事摂取量の変化、消化器症状、機能制限の4つの項目を患者さんに確認します。そして、患者さんから伺った内容をもとに行う評価の実際についても解説します。皆さまも動画を見ながら、患者さんの回答をもとにスコア化してみてください。
2023年01月公開
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